2011年3月27日日曜日

メセナスタッフブログ №77

沈丁花(ジンチョウゲ)の花の甘い香りが街に香る季節となりました。例年ならばその香りとともに桜の花が咲く春を心楽しく待つといったところですが、3月11日に発生した東日本大震災により状況は大きく変わってしまいました。今回の地震で沢山の方が亡くなり住み慣れた我が家を失い避難所生活をされている方々がいらっしゃいます。
亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災者の皆様には、心からお見舞いを申しあげます。

さて平成22年度の八潮メセナの事業を省みますと八潮メセナは、平成2年9月8日の開館以来20周年を迎えました。20周年を迎えるにあたって、あらためて市民の皆様の大きな応援に深く感謝するところです。

初夏の事業では、6月20日に行った「開館20周年記念事業第2回音楽のまちづくりピアノコンサート」を思い出します。メセナのスタインウェイピアノの活用とピアノを愛する市民の方々の交流を目的に開催したもので、参加者は小学校低学年から大人までそれぞれ好みの曲を弾いていただき、またある時は親子の連弾が行われました。
ゲストの佐藤展子(さとうのりこ)さんの演奏とショパンの解説など会場の皆様には、心から楽しんでいただいたコンサートだったのではないかと思います。

夏の事業では、7月25日の八潮駅前のアネックスで行った「第4回 八潮寄席」が思い出されます。毎年、市内にお住まいの橘ノ圓師匠のご協力により毎年市民の皆さんに身近な日本の伝統芸能を紹介しています。印象に残ったものとしては、和風漫談の宮田 章司師匠の唐辛子売り、金魚売りなど、今は珍しい「江戸売り声」の実演が心に残りました。

秋の事業では、9月20日に公演を行った市民参加型オリジナル市民ミュージカル「時をつなぐ歌 2011ver.」の公演が思い出されます。今回は、昨年の17人から23人と出演者も増えストーリーも新しくなったミュージカルとなりました。出演者の歌と踊りに感動するのはもちろんですがミュージカル全体に流れる命の大切さ、環境の大切さへの訴えに改めて感動しました。

冬は,2月5日に「井上あずみファミリーコンサート」公演を、市内ボランティア団体の皆様と行ったことが印象に残ります。12月の朝にチラシ配布を八潮駅前で行いましたが、寒さの中の活動を通してボランティア団体の皆様との絆は、より強固になったのではないかと思います。コミュニティの維持と形成の促進といった目的とともに行われたコンサートは、井上さんのやさしい歌声とともに関係者の皆様の熱意が感じられるものになったのではないかと思います。

その他事業を色々させていただきましたが、以上が22年度の主な私の思い出、感想です。事業を行ううえでご指導、ご協力いただいた皆様、スタッフの皆様には心からお礼を申しあげます。

今、私たちの目の前には、震災からの復興といった大きな課題があります。私を含めた日本に住むもの全員が自分の課題として復興のための諸課題に取り組んでいくことが求められていると思います。解決のためには声高でない愛、希望、勇気、情熱などを持つことが必要であり、そのために八潮メセナは、文化芸術の拠点として活動を支えるとともにまた文化芸術を提供したいと思います。
まだ再建の入口にたったばかりですが、「冬来れば春成る」ともいいます。一人一人は、小さな一歩ですが小さな一歩を集約することで少しずつ再建のための努力をしたい。そんなことを考えています。

思いがけず文章が長くなってしまいましたが、今年一年ありがとうございました。23年度も八潮メセナは新しい事業を用意していますのでどうぞご期待ください。
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