2010年7月18日日曜日

メセナスタッフブログ №48

ネジバナについて

7月も半ばを過ぎますと暑さも本格的になりまして、陽射しが「夏」を主張するようになりました。今回は、庭で見つけた花について少しお話してみたいと思います。

今月上旬から自宅の庭の芝生の中に、25センチほどの長さの茎に沢山の2~3ミリほどのピンクの可憐な花が、らせん状に下から上にねじれて咲いています。

らせん状(ねじれて)に花が咲くところからネジバナという名前の蘭の仲間だそうで、別名をモジズリともいうそうです。確かに虫眼鏡で拡大して見ますとシンビジュームなどの花の形と同じです。

モジズリというと「みちのくの しのぶもじずり誰ゆゑに 乱れむと思ふ我ならなくに(陸奥の国から出る忍草摺りの模様のように私は思い乱れているが、すべてあなたのために思い乱れているのです。)」といったような内容の古今集の源融(みなもとのとおる)の恋の歌を連想する方が多いかと思いますが、この歌のもじずりは、布の染色の仕方、模様のことで、このネジバナのことでは、ないそうです。

らせん状に花が咲くことについては、花が一方向に咲くと茎が傾いてしまうので花の方でらせん状に咲くことでバランスを取るようになった。という説もあるそうです。
植物も考えて花を咲かせるという訳ではないでしょうが、環境に適した花の咲き方をするようです。またネジの巻き方も右巻き、左巻きとあるそうで、同じ場所で異なる巻き方のネジバナが見つかることもあるそうです。
ちょっと面白い話だと思いませんか。
 
(この文章を書くにあたって次の本を参考にしました。
柳宗民の雑草ノオト 柳宗民・文 三品隆司・画 ちくま学芸文庫
三省堂 新明解 古典シリーズ 桑原博史 監修)